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  • 執筆者の写真Susumu Ueda

<作曲家>この不自由で不可思議な多面的世界 03 / プロモーションVideo映像

更新日:2021年8月13日

【 色んな仕事をしています ③ 】


このブログタイトルの一部にある「不自由」という言葉。一般的にいうネガティブな「不自由」という概念だけで考えると、私の仕事がどうして不自由なのかわからない方がほとんどだと思う。でも実は深い理由がある。 その一つに、著作権の問題がある。 たとえ自分が作曲した楽曲でも、CD・楽譜・テレビ番組など商業的に世の中に出ているものに関しては、ほとんどの作品は自分勝手にネット上にアップしたり転載したり、販売あるいは自由にダウンロードできる環境下に置いたりできない。なぜならほとんどの作品は「著作権譲渡契約」を音楽出版社と交わし、JASRAC(日本音楽著作権協会)と音楽出版社の管理下に置かれているから。 この音楽出版社という存在は楽譜出版社とは違い、著作権の管理や企画、プロモーションなどを行なっている会社で、楽譜出版社は社内にその部署を持っている。 「譲渡」というと自分の作品で無くなるみたいだが、著作権を管理する権利を譲渡する(代行してもらう)というニュアンスに近く、「著作者」でなくなることではありません。商業作品に関わる作詞家、作曲家はほとんどこの契約を結んでいる。 流れを追ってみるとこんな感じ。 楽曲の制作(作曲や作詞) 商品化される前に音楽出版社と「著作権譲渡契約」を結び、作品がJASRACに登録される 発売されて世の中に出る JASRACが著作権使用料を使用者から徴収し、規定の手数料を差し引いて音楽出版社に支払う。音楽出版社は自社の手数料を差し引き、契約で定められた分配率で著作者に使用料を分配、JASRACもまた会員(正会員、準会員、信託会員)に同様の分配を行う。 社会的にも問題点が指摘され、特にクラシック音楽の演奏家からは評判の悪いJASRACだが、著作者にとっては有難い存在でもある。ただ私が主催して自分の楽曲を演奏するコンサートを行う場合、作曲者であっても例外なく著作権使用料を払うことになり、当然ながらレクイエム・プロジェクトの活動でも自作品に対し支払っている。 このブログの01と02ではYouTubeに誰かがアップしたもののリンクを使用しているが、これら私の知らないファンの人たちは、市販のCD音源をそのまま使用しているので、本来はNG。 JASRACや音楽出版社からすれば、著作権の侵害に相当する行為と考えるのは当然であり、削除対象になるが、致し方ないとはいえ著作者からすれば、個人的な楽曲のプロモーションをしたい場合、正直とても「不自由」でもある。 ということで、暑い日が続く夏にふさわしいかどうかは別として、私がまだJASRACの信託会員になる(なるのにも条件がある。後日また)前の作品。25年前の作品で、SONYのHi-Visionテレビの海外プロモーション・ビデオ用の音楽。映像は青々とした南の海と海の中の美しい魚や生き物たち、海藻、イルカの泳ぐ姿など。今では4Kとか8Kとかのテレビも発売されている状況で、Hi-Visionという言葉も死後となっているが、4半世紀前では最先端のテレビだった。 プロモーションやCMでは、音楽に関して著作権契約をすることは殆ど無く、著作権使用料も発生しない代わりに、使用後の楽曲には厳密な縛りが無い。 ★ここをクリックして試聴してください。 曲のタイトルはありません。 Vocal とチェロ以外は、全て私自身がキーボードを弾きながらコンピューターに入力したMidiデータ。そのデータを使って、音源となるシンセサイザーをレコーディング現場で鳴らして録音している。

著作権法のもとに保護され、権利と収益という観点から考えても、その恩恵に預かっているのだが、著作者個人としては何かと「不自由」もある制度。贅沢な悩みかもしれない。 今後もいろいろな「不自由」さについて触れながら作品を紹介していくが、プロフェッショナルなクリエイティブの世界では、「不自由」さは創作の原動力でもある。決して自分の好き勝手に曲を作ったり編曲できるわけでは無く、必ず何らかの制作目的や制約がある中で、「聴く人にその不自由さの片鱗も感じさせず、どれだけの表現ができるか」という職人としての腕の見せ所とプライドをうちに秘めている。 話は逸れるが、この会のブログタイトル画像の写真にも著作権はあり、自由に使えるが使用料を買っている。 次回は、スポーツイベントにまつわる作品をご紹介。

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