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  • 執筆者の写真Susumu Ueda

<作曲家>この不自由で不可思議な多面的世界 02 / TVアニメの挿入歌

更新日:2021年8月13日

【 色んな仕事をしています ② 】

作曲がどこまでの内容を言うのか・・・。世の中の多くの人はメロディーを作る人が作曲家だと思っているだろうし、それは間違いではないが、編曲という仕事もまた作曲と同レベルでとても重要である。 クラシック音楽の作曲家の場合、作曲と編曲と言う作業は一体というか、私に限らず編曲と言う概念を特に意識していない。一口に編曲と言っても大きく分けてarrangement(アレンジメント)とtranscription(トランスクリプション)がある。前者は編曲者の音楽的意図がかなり多く働く作業で、後者は主に置き換えていく作業が中心となるが、かと言って機械的な置き換えではなく音楽的な意図や知識も当然必要となる。さらには、reduction(リダクション)という作業も編曲の一つという捉え方もある。 難しそうな話は省略するが、いわゆる「歌もの」と言われる世界では、メロディーが顔の輪郭、目鼻立ちなど個性や表情の元になるものだとすれば、編曲はそこに肉体を与え、様々なスタイルの服を着せ、表情をくっきりさせ、息吹を吹き込む作業(この場合はarrangement)と言える。そのような例えを知れば、編曲はとても大切な仕事であり作品を世に出すための要になることが少しお分かりいただけるだろうか。 昔の歌謡曲とか演歌の場合はメロディーだけを作る人が多かったように思うが、その中にあって歌謡曲の黄金時代を築いたスーパーメロディーメーカーの筒美京平さんや都倉俊一さんは、基本的にはメロディーを作る意味での作曲も、アレンジ(編曲)も自分で行うタイプだったようだ。 もちろんギター片手に歌いながら作曲したり、ピアノで弾き語りしながらメロディー(コード進行も)を作曲し、レコードになる時はアレンジャー(編曲家)がその作業を行なってレコーディングする分業スタイルを貫いた作曲家も数多い。 作曲と編曲のことに関しては、まだまだこれからたくさんお話することになるが、このブログの01で取り上げた一番贅沢なレコーディングで生まれた作品の真逆となる今日の作品。 歌以外は自己完結の作業によってレコーディングされた楽曲。 この楽曲はシリーズ化され長くオンエアされていた「おジャ魔女」シリーズの関連曲。テレビでオンエアされているアニメ、特にテレ朝系列の日曜朝のアニメは、多くの楽曲が誕生している。もちろん劇版と言われるサウンドトラックはもちろんだが、オンエア中に流れるキャラクターの楽曲や、関連イベントで使用するための楽曲などがある。 この楽曲はカラオケマシンの「エンカくん」というキャラクターをイベントで登場させる際に使用された楽曲で、まさしく「演歌」そのもの。もちろんそういう楽曲を作れというオーダーにより作曲・編曲している。レコーディングで声優さんが歌を入れた以外は、作曲も編曲も音楽データ作成も全て私1人の作業で生まれている。曲名も「あなた追いかけ人生港」。メロディーも編曲も演歌の王道をいく(?)楽曲。生の楽器は一切使用しないで、全てがシンセサイザーによる音色となっている。 私が作曲した演歌の世界! 


「おジャ魔女」シリーズでは何曲も作曲や編曲でキャラクターソングに関わっているが、著作権の関係でアップされても削除されることが多いので、YouTubeで現在視聴可能なものはあと下記の「夕暮れブランコ」くらいだろうか。これは「妹尾あいこ」という天下茶屋生まれのキャラクターのための楽曲で、アニメのオンエアでも使用されている。これも作曲・編曲、音楽データ作成も全て私1人。レコーディングでは「妹尾あいこ」を担当する声優さんの歌と、ハーモニカ、フォークギターが生での演奏。



次回は、美しい海中の世界をご紹介。

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