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  • 執筆者の写真Susumu Ueda

<作曲家>この不自由で不可思議な多面的世界 01 / Jazzyなパヤパヤ

更新日:2021年8月12日

【 色んな仕事をしています ① 】


様々なジャンルやタイプがある私の音楽作品や仕事に関して、そろそろまとめて語りたいとここ数年思っていて、その結果ブログという形で立ち上げることにした。

これまで自分のことを文字で残そうとすると、どうしても時系列で順を追ってという形になりがちなので、ここでは色んな変化を自分でも楽しみながら、順不同で書いていけたらいいかなと思っている。


「作曲家」って世間的にはどんなイメージなんだろう?

音楽ジャンルによってもイメージが違うだろうし、理解し難い謎に満ちた存在なのかもしれない。

私のようにある一面からだけでは想像できない音楽世界が広がっている場合もあることに、意外に気づいていない人たちも多い。もちろんそれで全く構わないのだけど、親しい人たちには、せっかくだから知ってもらえると嬉しいかなと思う。

不自由で不可思議で多面的な世界へ、ようこそ!


例えばこんな曲・・・

<※このアニメ音楽のファンの方がサントラCDからYouTubeに何曲もアップされているので、そのリンクをお借りする(苦笑)。>




私という人間と、合唱作品を中心にしたレクイエム・プロジェクトという2008年からの活動の中で出会った人たちにとっては、想像できないサウンドのはず。TVやアニメや映像やCMなど、それ以前の仕事に関して少しだけ知っていても、日頃そのサウンドに接する機会は当然ながらまず無いだろうから。


この「RE:キューティーハニー」というOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)は2004年の作品で、もう17年も前のもの(私もまだ48歳だった)。永井豪さん原作の名作「キューティーハニー」を「新世紀エヴァンゲリオン」や「シン・ゴジラ」などで著名な庵野秀明さんが監督を務めた、実写映画版のスピンオフ作品(天・地・人の3巻)。庵野さんが再び総監督となり、ガイナックスと東映アニメーションという著名アニメ制作会社がタッグを組んだある意味とても注目されるはずの作品だったが、意外や意外!一般的には知名度は上がらず、超マニアックな作品となった。



Wikipediaでは「ガイナックスと東映アニメーションのスーパーアニメーターが夢の競演を繰り広げ、作品自体は映像・音楽・演出ともに水準以上の質の高さとなっている」と書いてくれていて嬉しいが、一般に広く知られる作品にはならなかった。


ただ「キューティーハニー」をよく知る人が書いていると思われる同じWikipediaに「音楽面では女性スキャットをメインに据えた『初代』のコンセプトを踏まえた楽曲作りが行われており、初代の劇伴も一部アレンジの上で流用されている。」と記載されている通り、このアニメの場合は、音楽(サウンド・トラック)の方向性やコンセプトは制作サイド(プロデューサーやディレクターなど)からの強い要望であり、それに沿った形で作曲という仕事をしている。


つまりある時期、私が生業の中心としていた商業ベースでの「作曲家」という仕事は、「芸術家」でもなく「アーティスト」でもなく、どちらかといえば「職人」であり、その職人技のなかで自分を表現するという「不自由」さを併せ持つ仕事だったといえる。商業ベースの音楽業界と、あることが原因で距離を置くようになる2012年まで、そのスタンスは続くが、一つ一つの仕事が面白く、毎回違う個性になって自分なりの表現ができる「多面的な世界」だった。


それらは自分の作品であるけれど、とても客観的・俯瞰的な作業から生み出されるものだともいえ、現在においても作曲する上での重要な意識だと言える。


「作曲」といってもどこまでの作業を言うのかは様々で、概念もジャンルなどによって微妙にニュアンスが違う場合がある。この曲に関して言えば、私はテンポやイメージを考えた上で、コンセプトの一つであるパヤパヤコーラスのメロディーやコード(和音)、アドリブを除くブラス・ワーク(メロ&トゥッティ)を作曲し、その譜面に書いたものと、それ以外のブラスのアドリブ、ドラム、ギター、ベース、パーカッション、キーボードのプレイを、全て超優秀なミュージシャンの方々がリハーサルやレコーディングの現場でパパッと打ち合わせして演奏している。アドリブによるフレーズが欲しい部分は、場所とイメージを伝えてあとはお任せ! 一番贅沢なレコーディングのパターンの一つ。 同じアニメからもう1曲。

他にはMidi(ミディ)という規格を使ってコンピューターのソフトで作曲した音楽の全パートを、シンセサイザーで鳴らして録音する完全な自己完結型もあれば、ほとんどはシンセサイザーの音だけど例えばベースやサックスは生とか、ヴァイオリンだけ生とか色々ある。 次回以降も「多面的世界」を色々ご紹介。

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